ハッピー・ホテル > ラブホコラム
私は単身で日本全国、北海道から沖縄までの昭和ラブホを170軒以上巡り、SNSや週刊誌などを通し魅力を発信しています。
1985年に新風営法が施行され、それ以降はラブホテルに回転ベッドや一定以上の大きさの鏡などを設置することが難しくなってしまいました。
昭和ラブホとは、新風営法の施行前に建てられて大きな改装をせずに当時の趣が残っているラブホテルのことを指します。
昭和ラブホの王道である回転ベッドや鏡張りの部屋、エアシューターなど……。当時を知る人にとっては懐かしく、平成生まれの人にとっては新鮮に感じられるのではないでしょうか。
今回、私が訪ねたのは新潟県新潟市にあるホテル ムスク。創業は1977年7月で半世紀近く営業している老舗ラブホです。新潟駅から徒歩約5分の場所にあり、歩いて行ける立地がポイント。
建物内に入ると客室パネルがあります。昭和ラブホ好きなら間違いなくワクワクするであろう部屋の数々に心躍らされます。パネルをよく見てみると「ファッションホテル ニュームスク」と記載されています。旧ホテル名を知ることができて嬉しい気持ちに。
私オススメの部屋を写真と共に、ご紹介していきます。
まずは201号室。
各部屋に名前が付いていて、この部屋は「白の幻想」
※開業当時から改装されているため部屋名と内装はほぼリンクしてません。
訪ねる前からオフィシャルサイトを見てずっと気になっていた部屋です。
「なにこの洞窟のような空間!!」と思わず声に出したくなるような珍しい部屋です。今ではなかなか考えつかないような内装デザインに昭和ラブホの多様性を感じます。昔は洞窟の色が違ったのだとか。「白の幻想」と名付けられているだけあり、開業当初は洞窟が白色だったのかなぁと想像が膨らみます。
ちなみにムスクでは枕元にキャラクターやアヒルの入れ物が置いてあり、何かと思って中を空けてみるとウェットティッシュが入っていました。何気にあると嬉しいアイテム!痒いところにも手が届くサービス、嬉しいです。
こちらは浴室。円形のバスタブに心躍ります。照明の色が自動的に変わるのでムーディーな変化を楽しみながら入浴できます。ムスクではお風呂とトイレが同じ空間にある部屋が多いのですが、こちらの部屋は別々でした。
洗面所にはアメニティも揃っています。
個人的には使い捨ての紙コップが置いてあるのが衛生的でポイント高いです。
そして、珍しいものを見つけました。
エレベーターでほかのお客さんと鉢合わせないための工夫です。プライバシーを大切にしたい人も多いと思うのでこのような工夫があるだけでも安心感が生まれます。玄関などにこのようなものがある昭和ラブホを見たことがあるので、当時はよくある設備だったのかもしれません。
続いては401号室「スペースコスモス」の部屋。
ムスクでは唯一の円形ベッドの部屋です。宇宙のような内装がとても素敵で、いい夢見れそうな空間。天井はガラス張りで電球の光がとてもロマンチックです。
ちなみにムスクではベッドに拘束バンドが付いていて、手足を拘束できるようになっています。
(取材時、501号室以外のベッドには付いていました)
こちらの部屋はお風呂とトイレが同じ空間にあり、白×黒のタイルが印象的です。
浴室が一人用……?と思うほど小さいのですが、カップルで来た場合はこの小ささが互いに密着できるので良いかもしれません。
続いて502号室 「ホワイトルーム」
可愛らしいピンク色に惹かれて気になっていた部屋なのですが、部屋の名前を見る限りだと当時は白色だったのかもしれません(笑)
バスタブも昭和ラブホではよく見かける形。バスタブにも個性があって見ているだけでもワクワクした気持ちになれます。
壁にはこんなものを発見。
トイレの便座に敷くトイレシートの入れ物です(シートは入ってませんでした)。ここ最近は見る機会も減ったような……と、ふと懐かしい気持ちになりました。
続いては203号室「ソフトSMルーム」
部屋の壁紙は、赤に近いような濃いピンク色になっていて、SMの雰囲気が漂っています。
洞窟や宇宙っぽい部屋があり、SM部屋もあるとは。さまざまな利用者の好みを把握しているかのようです。これが昭和ラブホの醍醐味でもあります。
この部屋は、お風呂とトイレが別々です。個人的にこのタイルの柄がとても好きで、様々なタイルと出会うことができるのも昭和ラブホの浴室ならではです。
最後に、501号室。
ムスクには、系統の違う部屋が1部屋だけあります。ここの部屋だけ今どき風に改装した部屋になっていて、昭和ラブホらしさは一切感じられません(笑)まるで他のホテルに来たかのような感覚になります。改装されているため、部屋に名前は付いていませんでした。
唯一、ベッド横に鏡があるのが昭和ラブホっぽいです。
驚いたのはソファスペースの広さ!
カラオケの大人数部屋にありそうな8〜10人くらいは座れそうなソファが設置されています。実際にカラオケ設備もあるので楽しめます。
ちなみにこんなスペースまで。
なんとキッチンがあります!このスペースだけ見たら、まるで家のようです(笑)
調理器具や調味料類が一通り揃っているので、不自由なく使えるのではないでしょうか。わざわざ購入して持ち込む必要がないのが嬉しいです。
どちらかというと落ち着いて過ごすよりも、数人で集まってワイワイ過ごすのに向いてそうな部屋だと感じました。
洗面所も他の部屋には設置してないアメニティ類があります。
トイレも今どき風に改装済みでした。
浴室も広くて驚きです。開放的な気分で利用することができます。
しかも内風呂だけでなく露天風呂もありました。寝て使用するタイプのお風呂もあり、3種類のお風呂を楽しむことができます。まるでスパ施設に来たような充実感があり、これらを味わうことができるなんて至福でしかありません!
ホテル ムスク、いかがでしたでしょうか。駅近なので車がなくても気軽に行くことができます。
レトロ好きな方にバシバシと刺さる部屋がたくさんです。しばらく日替わりで部屋を変えて生活してみたいくらい(笑)楽しいイベントも開催していて、先月の2月はバレンタインということで「チョコ掴み取り」をやっていて、掴んだ個数×10円引きになりました。今月はクッキー掴み取りを開催しているみたいです。フロントに連絡すれば参加できます。
ホテル外観のシンプルさとは裏腹に、どの部屋も内装が楽しくて飽きることがありません。
そして屋上を見てびっくりしたことが!なんと船があります。
コチラの船、昔使用されていた廃船なんだとか。どうやら前のオーナー様が海が好きなこともあり設置されたそうです。
今どきの内装が好きな方は501号室を利用してみるのがオススメで、ラブホの概念を覆すような設備が揃っています。オフィシャルサイトではスタッフ様がブログを書いていて、中の人だからこそ知っている情報なども盛りだくさんなので気になる方は是非そちらもチェックしてみてくださいね!私もまた新潟に行ったら再訪したいです。
プロフィール
昭和ラブホの魅力に取りつかれた、平成生まれの”昭和ラブホテル"愛好家。
単身で北海道から沖縄まで日本全国の昭和ラブホを170軒巡り、SNS、メディアでの記事執筆、ラジオ出演などを通じて魅力を発信中。
『回転ベッドを追いかけて』
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全国の昭和ラブホを渡り歩いて収めてきた500点以上の写真が、160ページ全編カラーで楽しめる。地域別のオススメ昭和ラブホや、初めて昭和ラブホを訪れるときの心得、さらには回転ベッドの生みの親で伝説のラブホテルデザイナー・亜美伊新(あみい・しん)氏へのインタビューも。
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