ハッピー・ホテル > ラブホコラム
私は単身で日本全国、北海道から沖縄までの昭和ラブホを170軒以上巡り、SNSや週刊誌などを通し魅力を発信しています。
1985年に新風営法が施行され、それ以降はラブホテルに回転ベッドや一定以上の大きさの鏡などを設置することが難しくなってしまいました。
昭和ラブホとは、新風営法の施行前に建てられて大きな改装をせずに当時の趣が残っているラブホテルのことを指します。
昭和ラブホの王道である回転ベッドや鏡張りの部屋、エアシューターなど……。当時を知る人にとっては懐かしく、平成生まれの人にとっては新鮮に感じられるのではないでしょうか。
今回は奈良県香芝市にある「ホテル 香芝アイネ」をご紹介します。
こちらのホテルは前回ご紹介した「ホテル 五條アイネ」の姉妹店です。
五條アイネと同じく、1600棟ものラブホテルをデザインしたラブホ界の巨匠、亜美伊 新さんがデザインを担当しています。
志都美駅から徒歩12分、香芝インターから車で3分の場所にあり、「アイネ」という大きな看板が、ラブホが立ち並ぶ中で際立っていました。
五條アイネに負けないくらいの昭和感溢れるゴージャスな部屋が勢揃いしているので、ぜひ最後までご覧ください!
まずは私のイチオシの部屋から紹介します。
231号室です。
あまりの美しさに鳥肌が立ちます……。
昭和ラブホを代表する回転ベッド&鏡張り空間。まるで万華鏡の中にいるかのようです。
歓声を上げること間違いなし!
※残念ながら現在はベッドが壊れていて、回転しません。手動で押せば回すことができます。
今後、復活することを願っています。
まさか、こんな部屋が存在しているなんて……と、我々の想像をはるかに上回ります。ずっと眺めていたくなるような夢のような空間に嬉し泣きです。
枕元には回転の操作盤があります。当時、数多くの回転ベッドなどを製造していたベッドメーカー「ビケンズベッド」のものです。操作盤を見るだけでもワクワクが止まりません。
そして電気を消して、赤いライトを点けると…
これまた一風変わり、妖艶な雰囲気に。ライトひとつでこんなに印象が変わるなんて!
ベッドの横にはこんなスペースがあります。
畳に座布団に机。和の要素が取り入れられているセンスにアッパレです。
鏡張りのギラギラ空間があまり落ち着かないという方はここで過ごすのもアリかもしれません(笑)
水回りも見ていきましょう。
浴室タイルは、よーく見ると竹の模様で部屋の雰囲気にピッタリ。バスタブは真新しい感じで、改装されているのかなという印象です。
※取材時、蛇口の水圧が弱くシャワーでバスタブにお湯をためる状況でした。
行かれる際に気になる方は、電話で状況を問い合わせてみてください。
浴室の扉を見ると「ラジウム温泉」の看板が。様々な効能・効果があるようです。
洗面所も必要最低限のアメニティは揃っていて、急な泊まりでも不自由なく過ごすことができます。ちなみにお手洗いも改装されているのか綺麗な洋式で、自動で蓋が開く仕様でした。水回りはどの部屋も似たような作りになっています。
続いて227号室。
先ほどの231号室のように、こちらも香芝アイネを代表する部屋なのではないかと思っています。
室内に橋があるのが印象的で、とても立派なつくりです、橋の上を歩くたびに気が引き締まるような緊張感がありました。壁の模様も今ではなかなかお目にかかれないようなデザインです。
橋を渡った先にはベッドルームがあります。
所々が鏡張りになっていますが、全体的に和風なので心が落ち着きます。この豪華絢爛なデザインはやはり亜美伊さんならでは。素晴らしい空間にただただ驚かされるばかりです。
そして231号室と同様に、畳に座布団に机。何もかもが最高です。
浴室の壁タイルの柄も好みです。ちょうど2人で入れるくらいの大きさになっています。
続いて213号室をご紹介します。
こちらの部屋、私のコラムを読んでくださっている方の中には見覚えのある方もいらっしゃるのではないでしょうか?実は前回の五條アイネのコラムでも、これとそっくりな部屋をご紹介しているんです。
香芝アイネにも宇宙部屋を作ってしまうなんて、さすが亜美伊さんですね!
ロマンティックな空間に浸ることができます。鏡張りを使うことにより奥行きが出て、より美しい宇宙空間が表現されていました。
浴室タイルは黒で、宇宙にふさわしいようなミステリアスな雰囲気です。ガラスに描かれているイラストも素敵で魅入ってしまいました。
最後に225号室。
宮殿のような雰囲気が漂う部屋です。
壁側の立派な柱もデザインが美しく、高級感が際立っています。そして瓦でしょうか。日本家屋のような要素も加わっていて面白いです。壁の鏡の形もオシャレでセンス抜群……!
いやらしい雰囲気もなく、上品な内装です。老若男女から好まれそうな部屋だと感じました。
そしてやはり浴室タイルの柄が素敵です。見ていると、なんだか目がチカチカするデザイン、これも昭和ラブホならでは(笑)
香芝アイネ、いかがでしたでしょうか。
最寄りの志都美駅からギリギリ歩いて来れる距離なので、車がない方でも足を運ぶことができます。
客室パネルを見ているだけでも気分が高まります。ワンガレージワンルーム式なのでプライバシーも守られていて安心です。
私のイチオシはなんといっても231号室。当時のラブホテルに対する熱い情熱や昭和魂が、これでもかと伝わってくる魅力溢れる空間です。もちろん他の部屋も多種多様で、私たちを楽しませてくれます。香芝アイネに行ったら昭和ラブホがもっと好きになること間違いなし。ぜひ一度足を運んでみてください!私のYouTubeチャンネルでも詳しくご紹介しているので、そちらも是非ご視聴ください。
プロフィール
昭和ラブホの魅力に取りつかれた、平成生まれの”昭和ラブホテル"愛好家。
単身で北海道から沖縄まで日本全国の昭和ラブホを170軒巡り、SNS、メディアでの記事執筆、ラジオ出演などを通じて魅力を発信中。
『回転ベッドを追いかけて』
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全国の昭和ラブホを渡り歩いて収めてきた500点以上の写真が、160ページ全編カラーで楽しめる。地域別のオススメ昭和ラブホや、初めて昭和ラブホを訪れるときの心得、さらには回転ベッドの生みの親で伝説のラブホテルデザイナー・亜美伊新(あみい・しん)氏へのインタビューも。
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