ハッピー・ホテル > ラブホコラム > ゆななの昭和ラブホ旅行記 > ゆななの昭和ラブホ旅行記〜ホテル XO〜
私は単身で日本各地、北海道から沖縄までの昭和ラブホを130軒以上巡り、SNSや週刊誌・TV出演を通し魅力を発信している。
1985年に新風営法が施行され、それ以降はラブホテルに回転ベッドや一定以上の大きさの鏡などを設置することが難しくなってしまった。
昭和ラブホとは新風営法の施行前、主に1960~80年代前半に建てられて大きな改装をせずに当時の趣が残っているラブホテルのことを指す。
昭和ラブホの王道である回転ベッドや鏡張りの部屋、エアシューターなど…
当時を知る人にとっては懐かしく、平成生まれの人にとっては新鮮に感じられるのではないだろうか。
今回ご紹介する昭和ラブホは、岡山県岡山市にある「ホテルXO」
創業は1983年(昭和58年)、客室数は全21室。開業当時からの内装が現在も残っていて、回転ベッド、さらにはウォータースライダーやコテージ風の別棟まである部屋もあり、昭和ラブホならではの非日常感を味わえる空間が広がっている。
実はこちらのホテルXO、以前も訪ねたことがあり約2年ぶりの再訪だった。
国道2号線バイパス倉田交差点からすぐの場所にあり、アクセスしやすいのも嬉しいポイントだ。
オーナー様やスタッフ様から伺った貴重な話を盛り込みながら、個性豊かな客室の数々をご紹介していきたい。
まずは217号室。
こちらは1階と2階があるメゾネットタイプになっている。
まずは2階部分からご紹介しよう。ベッドルームは中華風になっていて細かい装飾にも手が込んでいる。
どうやら創業当時は各部屋に名前がついていて、この部屋は「チャイナタウン」という名前が付いていたとのこと。オーナー様から創業当時の内装写真を拝見したが、ベッドや天井は当時から変わっていない。
浴室はガラス張りで、開放感のある空間に心がリフレッシュされる。広々としたローションマット専用の空間もあり、思う存分に楽しむことができる。
寝れるタイプの広々としたサウナまで完備されていて、サウナ好きにもってこいだ。
これらの空間だけでも十分すぎるくらいなのだが、さらに凄いのがここから。
浴室からテラスに出れるようになっているのだが、コテージ風の別棟を発見!
もはやラブホの域を超えていて「私は今どこにいるんだろう」という感覚になってくるのが楽しい。「ひみつの花園」の看板が掲げられていて、いい味を出している。
気になるコテージの中は…
ゆったりくつろぐための居間のようなスペースなのかと思いきや、ベッドやマッサージ機が登場。
なんと217号室にはベッドが2つもあるのだ。
そのため、女子会・ダブルデートでの利用客も多いのだとか。普段、単身で昭和ラブホを巡っている私としてはどちらのベッドを使おうか悩んでしまいそうだ。
次は階段で1階に下りてみよう。
ドアには「お気にめすまま」の看板が。扉を開けてみると…
本格的なSM空間が広がっているではないか!SMチェアはもちろん、身体を吊るすことができる器具に、両手両足を固定できるベッドまで。SM好きにはたまらない空間だろう。
こちらの217号室はYouTubeでより詳しく紹介しているため、ぜひそちらも見てほしい。
続いては系統を変えて、和風部屋の201号室を紹介。
机や椅子があるスペースは畳で、旅館にあるような座椅子なのがとても良い。
着物を着た男女の日本画イラストがとても印象的だ。その奥には和風円形ベッド。
※このベッドは回転しない
全体的に温かみがある内装で異様に落ち着いてしまう。お茶でも飲みながらのんびりとした時間を過ごしたくなるのは、畳があるからだろうか。
コスプレも各種1,000円でレンタルできる。この部屋に似合う衣装をレンタルして楽しむのも良さそうだ。コスプレ以外にもシャンプーやクレンジング類はもちろん、ルームウェアや、ダイソン・リファといった有名ブランドのドライヤーを無料でレンタルでき、女性に嬉しいサービスも盛りだくさん。
客室にはエアシューターもあるのだが、現在は自動精算機での会計になっている。
エアシューターはメンバーズカードを客室に送る際などに使われているそうで、現在もしっかり活躍していることに感激。
続いて213号室。こちらも和風部屋になっている。
ベッドが一部、鏡張りになっているのが色っぽくて、壁には小野小町・天智天皇・清少納言の百人一首が。壁紙に百人一首を採用しているところが心憎い演出である。
そしてHOTEL XOに来て驚いたことは、とにかく清潔感があるということ。ラブホテルでは経年劣化やタバコのニオイなどが残りがちだったりするが、嫌なニオイもせず快適に過ごすことができる。長年やっていると壁紙にもニオイがついてしまうため、綺麗に保つために定期的に壁紙を貼り替えているのだとか。
続いて211号室。
こちらには昭和ラブホを代表する「回転ベッド」がある。
今まで様々な回転ベッドと出会ってきたが調子が悪く片方にしか回らなかったり、故障してしまっているものもあった。だがこの回転ベッドは非常に状態が良く、左右にきちんと回転し、動きも滑らか。
UFOの形をしたベッドがとても可愛らしい。天井には無数の豆電球があり、それが瞬いて星空のようになっている。このような工夫があるだけで一気にロマンティックなムードが高まる。
枕元には回転ベッドの操作盤。この「左回転」「停止」「右回転」と書かれたボタンを見るだけでとてもテンションが上がる。そして「ビケン」の文字。
当時、回転ベッドなど多種多様なベッドを製造していた、名古屋のベッドメーカー「ビケンズベッド」だ。令和になってもこのように現存してくれていること自体がたまらなく嬉しいのだ。
室内には漫画や雑誌なども置いてあり自由に読むことができる。どんなラインナップなのかとても興味深い。浴室も広々としていてサウナ付きだ。
最後は216号室。
メゾネットタイプになっている。実はこちらの部屋には取材後、実際に宿泊をして満喫してきた。
一番の目玉はウォータースライダー。
赤い螺旋状の滑り台がエキサイティング。なにより上から眺めるこの光景がたまらない。
大人であることを忘れて子供の頃に戻ったかのような気持ちになり、とてつもなくワクワクする。実際に滑ってみると思っていた以上にスピードが出て「楽しい+ちょっと怖い」というのが正直な感想。でも楽しさのほうが勝ち、何度も何度も滑ってしまったほどだ。
滑って着地する用のバスタブと、通常のバスタブの2つがあるのが嬉しい。この部屋にもサウナが付いている。
ベッドルームは先に紹介した211号室と同じく「回転ベッド」。
この回転ベッドも非常に状態良く稼働している。操作盤には珍しいものを発見。なんと「非常停止」ボタンがあるではないか!非常停止ボタンが付いているのは非常に稀である。
不具合などで回転が止まらなくなってしまった場合のことを考えると、このボタンがついているだけで安心感がある。安全に楽しめることが一番だ。
また、「食事」はラブホに来た時の楽しみのひとつでもある。 ホテルXOではルームサービスのご飯ものやスイーツにも力を入れており、私もとんかつを注文した。
実際に目にすると、ボリュームがあり衣もサクサクでジューシー。白米や、付け合わせの漬物などもとても美味しくてあっという間に完食。
カツ丼なども人気メニューらしく、使用している出汁は出来合いのものではなく、スタッフ様が手作りしているそう。
ちなみに朝食もいただいたが、こちらもとんかつと同じくボリューム満点。もちろん完食。朝からバランスの取れた食事で、いい一日を迎えることができた。
ちなみに1階にはシンプルなソファルームがある。晴れている日だとかなり日当たりが良く清々しい気分になれる。
まるで大人の夢空間のようなHOTEL XO。この記事を執筆していて、つい最近行ったばかりなのにまた再訪したい欲が高まってきて「次はどの部屋に宿泊しようかな」などと想像を膨らませてしまう。至れり尽くせりの空間に、終始圧倒されっぱなしだった。もはやしばらく住みたいくらいだ。
魅力的な部屋がありすぎて、この記事を見ている皆さんも「行くならどの部屋にしよう…」と迷っている方も多いのでは?
ぜひ一度は訪ねてほしいイチオシの昭和ラブホ。私もまた岡山に行ったら必ず足を運びたい。
プロフィール
昭和ラブホの魅力に取りつかれた、平成生まれの”昭和ラブホテル"愛好家。
単身で北海道から沖縄まで日本全国の昭和ラブホを130軒巡り、SNS、メディアでの記事執筆、ラジオ出演などを通じて魅力を発信中。
『回転ベッドを追いかけて』
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全国の昭和ラブホを渡り歩いて収めてきた500点以上の写真が、160ページ全編カラーで楽しめる。地域別のオススメ昭和ラブホや、初めて昭和ラブホを訪れるときの心得、さらには回転ベッドの生みの親で伝説のラブホテルデザイナー・亜美伊新(あみい・しん)氏へのインタビューも。
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